【本】生物と無生物のあいだ 〜一瞬も留まることなく入れ替わっている「私」〜

この秋から家族で定期的に本を読み、感想をシェアする試みを始めた。

最初に選んだのは夫が持っていたこちらの本。
分子生物学者が数々の実験結果をもとに「生物とは何か?」を探求していく1冊だ。




心臓があれば生命?というレベルでしかこのテーマについて考えたことがなかった者からすると、生物や科学の研究者の飽くなき探究心、粘り強い検証ぶりに、なぜそこまでと思わされたりもした。

この本のすごいところは「人の心」などという移ろいやすく不確かなものとは全く異なる、細胞やDNA、分子の世界で一瞬も止まることなく起こり続けているドラマを1本1本の糸のように紡ぎ、生命とは何か?の問いに対して事実を示しながら、最後に一枚の巨大な織物のように目の詰まった答えを織り上げて見せてくれる、筆者の類いまれなる表現力にある。

文系人間と理系人間の間に立ちはばかる、理解し合えない大きな壁に風穴を開けてくれる一冊だとも感じた。
渡米以来出会うようになったポスドクという立場の人々のことが今までより身近になったような気もする。

 特に興味深かったのは動的平衡について書かれた第9章だ。
私という人間、全ての生物が、「一瞬も留まることなく入れ替わっている」。
観念的には知っていたけれど、実際にミクロの世界で起こっていることから、改めて絶え間なく細胞は壊され、生まれ変わっていることを知る。

「明日は明日の風が吹く」以上に、何と自分自身への自信が湧き、失敗や変化を恐れない勇気が出る概念でしょう。
人生に悩んでいる人にも気づきがある一冊かもしれない。

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